Nの鑑賞ログ
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アビゲイル

あらすじ

裏社会の大物の娘を誘拐して大金を稼ぐはずだった犯罪者グループが、孤立した邸宅で一夜を過ごすうちに、少女の正体が普通の子供ではないことを思い知らされるホラー。

ネタバレ無し

バレリーナの少女が牙をむく

バレエの衣装を着た12歳の少女を誘拐するという導入から、あっという間に状況が逆転していくホラー映画です。マット・ベッティネッリ=オルピン&タイラー・ジレットのRadio Silenceコンビが監督を務めており、「スクリーム」(2022年)でも見せたジャンルへの愛と遊び心がこの作品にも溢れています。怖さとコメディ的な軽妙さが絶妙に同居していて、終始テンポよく見られました。

個性豊かな犯罪者たち

雇われた犯罪者チームにはそれぞれコードネームが与えられていて、互いの素性を知らない設定が面白かったです。メリッサ・バレラ演じるジョーイが実質的な主人公で、徐々に明らかになる彼女の過去が物語の軸になっています。ダン・スティーヴンス演じるフランクのリーダーぶり、キャスリン・ニュートン演じるサミーのハッカーとしての立ち回りなど、キャラクターの個性が際立っていて序盤から楽しめます。

「閉じ込められた場所」の恐怖

舞台のほとんどが孤立した大邸宅というシンプルな設定で、脱出できない閉所の恐怖がじわじわと高まっていきます。最初は「子供の見張り役」だったはずが、仲間が消えていくにつれて状況の意味が変わっていく展開が巧みでした。邸宅の内装や照明の使い方がうまく、ゴシックな雰囲気と現代的なアクションが混在した独特の画になっています。

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アビゲイルはヴァンパイアだった

誘拐したはずの少女アビゲイル(アリーシャ・ウェア)が実は吸血鬼で、チームのメンバーを次々と血祭りにあげていくのがこの映画の核心です。バレエの動きを取り入れた独特の戦い方で人間を翻弄する映像が圧倒的で、少女という見た目とのギャップが恐怖と笑いを同時に生んでいました。序盤の可憐な印象から一転する瞬間の衝撃はかなりのものでした。

罠だったという構造

作戦そのものが最初から仕掛けられた罠だったという事実が明かされ、最初から勝てない状況に追い込まれていたという絶望感がありました。誘拐という犯罪行為をした側が被害者になるという逆転の構図が、ホラーの恐怖とブラックコメディの笑いを両立させる仕掛けになっています。

ジョーイとアビゲイルの共闘

主人公ジョーイはアビゲイルに対して単純な敵対心を持てない場面が何度かあります。そしてクライマックスでは、二人は共通の敵に向かって一時的に手を組むことになります。殺し合っていた人間と吸血鬼が並んで戦う絵面のシュールさがあって、この映画らしいブラックユーモアが効いていました。「敵の敵は味方」という関係が成立するのも、互いを完全な化け物として見ていないからこそで、ジョーイとアビゲイルの間に生まれた奇妙な連帯感がラストを締める印象的な場面になっていました。

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