夢のチョコレート工場
あらすじ
黄金のチケットを手に入れた貧しい少年チャーリーが、謎めいた菓子職人ウィリー・ウォンカの夢のチョコレート工場を訪れるファンタジー映画。
ネタバレ無し
子どもの頃に観ると夢中になる世界観
メル・スチュアート監督が1971年に手がけた、ロアルド・ダールの小説を原作とするミュージカル・ファンタジー映画です。貧しいながらも善良な少年チャーリー・バケットが、五人のうちの一人として秘密のチョコレート工場の見学ツアーに招待されるというストーリーです。チョコレートの川、食べられる壁紙、想像を超えるキャンディの数々——工場内の映像はカラフルで奇妙な夢の世界が広がっていて、観ていてワクワクします。
ジーン・ワイルダーの存在感
この映画の中心にいるのはジーン・ワイルダーが演じるウィリー・ウォンカで、その存在感が映画全体の雰囲気を決定づけています。愛嬌があるかと思えば突然冷たくなる、何を考えているのかわからない不思議なキャラクターで、子ども向け映画の主人公としては珍しい複雑さを持っています。「Pure Imagination」をはじめとした劇中歌もウォンカの不思議な世界観を引き立てていました。
ファンタジーの中に潜む不気味さ
全体的にカラフルで楽しいファンタジーですが、工場見学中にふと不気味な方向へ転じる瞬間があります。今観ると「これ本当に子ども向けか?」と思う場面もあり、そのアンバランスさがかえって独特の魅力になっていました。大人になってから観ても不思議な引力のある映画で、明るいのに後を引く奇妙な後味があります。
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五人の子どもたちとその末路
工場ツアーに参加した五人の子どもたちは、それぞれ自分の欠点のせいで次々と脱落していきます。暴食のオーガスタス・グループ、わがままなバルーカ・ソルト、ガムへの執着が招くバイオレット・ボーレガードの変身、テレビに依存するマイク・ティービーのトラブルと、それぞれのキャラクターの欠点に対する皮肉めいた戒めとして機能しています。大人が観るとこのブラックなユーモアが際立ちます。
チャーリーと禁じられた飲み物
チャーリーは工場内で「炭酸リフトドリンク」を飲んではいけないというルールを、祖父グランパ・ジョーと一緒に破ってしまいます。そのことでウォンカに厳しく叱責され、約束した賞品が得られないと宣告される場面が終盤の山場です。チャーリーが正直に向き合ったことで状況が変わるというこの展開は、単純な「良い子が勝つ話」ではなく、失敗と誠実さが両方描かれている点で印象に残りました。
ウォンカの真意とエンディング
実はウォンカは工場の後継者を探しており、五人の招待はそのための試験でした。チャーリーが最後まで残ったのは単に「悪いことをしなかった」からではなく、誠実さを示したからこそという結末が、この映画の核心だと思います。子どもが観ると夢のような工場の話に見えるけれど、大人が観るとウォンカという人物の測り方が見えてくる、二重の楽しみがある映画でした。
