プー あくまのくまさん
あらすじ
大学進学で去ったクリストファー・ロビンに見捨てられたプーさんとピグレットが凶暴化し、百エーカーの森を訪れた若者たちを襲う。著作権切れを逆手に取った超低予算スラッシャーホラー。
ネタバレ無し
著作権切れが生んだ逆転の発想
2022年にA.A.ミルンの「くまのプーさん」原作がパブリックドメインになったことを即座に利用して作られた2023年の作品です。あのプーさんとピグレットがモンスターとして人を殺す――という発想だけで成立しているような映画で、実際それ以上でも以下でもありません。予算は非常に低く映像のクオリティも荒削りですが、その突拍子もない設定がSNSで話題になり、世界中で注目を集めました。
ライズ・フレイク=ウォーターフィールド監督の超低予算ホラー
新人監督ライズ・フレイク=ウォーターフィールドが手がけた長編デビュー作です。キャストも無名で、ロケーションも森と廃墟のみ、プーさんとピグレットの造形もコスチュームレベルで、B級ホラーとしての割り切り方は徹底しています。真剣に怖い映画を期待すると裏切られますが、「こんな映画が本当に存在するのか」という驚きを楽しめる人には見る価値があります。
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見捨てられた怪物たち
クリストファー・ロビンが大学へ去った後、食料を自給できないプーさんとピグレットはひどい飢えを経験します。その結果として獣化・凶暴化するという設定は、裏切りへの怒りという感情を一応持たせようとしている部分で、単純なモンスター映画よりは少し人間的な動機が見え隠れします。もっともその掘り下げはかなり浅く、すぐにスラッシャー展開に移行してしまいます。
スラッシャーとしての展開
若い女性グループが百エーカーの森の近くの別荘に滞在するという、スラッシャー映画の定型通りの設定で物語が進みます。プーさんとピグレットによる襲撃シーンは低予算なりに血みどろで、シリアスよりもむしろ笑いに近い感覚で見てしまう部分が多かったです。クリストファー・ロビンが大人になって再登場する場面も、感情的な重みよりも「そういう場面として処理された」という印象でした。
この映画の正しい楽しみ方
怖さやドラマを求めるとかなり物足りない作品ですが、「なぜこれが映画として成立したのか」という好奇心で見ると独自の面白さがあります。シリアスな顔で作られたB級ホラーとして、ある種のスナック感覚で消費できる映画でした。続編も制作されており、シリーズ化を狙っていることが伺えます。
