スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
あらすじ
正体が全世界に暴露されたピーター・パーカーがドクター・ストレンジの呪文で事態を解決しようとしたことで、歴代スパイダーマン映画のヴィランたちがマルチバースを超えて現実に流れ込んでくる物語。
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マルチバースという大仕掛け
前作ラストでミステリオに正体を暴露されたピーターが、ドクター・ストレンジに呪文を頼んだことで、スパイダーマンの正体を知る者が他の宇宙から次々と引き寄せられてしまうという展開は、スパイダーマンという一人のキャラクターの歴史を使った大仕掛けでした。グリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロ、サンドマン、リザードというライミ版・アメイジング版のヴィランたちが勢揃いする映像は、シリーズを見てきた観客へのサービスとして存分に機能していました。
ジョン・ワッツ監督とMCU三部作の締め
監督は三作連続のジョン・ワッツ。レギュラーキャストに加えて、アルフレッド・モリーナ(ドクター・オクトパス)、ウィレム・デフォー(グリーン・ゴブリン)、ジェイミー・フォックス(エレクトロ)らが各シリーズから再登場しています。特にウィレム・デフォーは本作でもグリーン・ゴブリンとしての凄みを全く失っておらず、前作・前々作から年月が経っても同じキャストが同じキャラクターを演じる迫力を改めて感じました。
スパイダーマンであることのコスト
本作を通じて描かれるのは、ヒーローとして生きることの代償です。正体が公になったことでピーター本人だけでなくMJやネッドにも影響が及び、普通の進学すら困難になっていくプロセスは、ヒーロー映画の中でも珍しいほどリアルな重さがありました。
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「直して帰す」という選択
マルチバースから召喚された5人のヴィランを、ドクター・ストレンジは元の宇宙に送り返そうとします。しかしピーターは彼らを「死ぬ運命」に送り返すことを拒み、治療して送り返す道を選びます。この選択がメイ伯母の死という最悪の結果を招くことになり、善意の選択が取り返しのつかない結果に繋がる展開は、本作最も重い場面でした。
メイ伯母の死とグリーン・ゴブリン
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」——ベン伯父ではなくメイ伯母の口からこの言葉が語られ、その直後に彼女がグリーン・ゴブリンに殺されるという場面は、このシリーズで最も衝撃の大きいシーンのひとつでした。ウィレム・デフォーのグリーン・ゴブリンが、2002年の初作と変わらない残酷さで本作に存在していたことが、このシーンの重さを支えていました。
二人のスパイダーマンの登場
トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドがそれぞれ自分の宇宙のスパイダーマンとして登場する場面は、スパイダーマン映画の歴史が積み重なってきた上にのみ成立する場面でした。三人のスパイダーマンが互いの傷を話す場面の静けさと、自由の女神像を舞台に共に戦う場面の高揚感のコントラストが印象に残ります。アンドリュー・ガーフィールドがMJの落下を受け止める場面は、アメイジング・スパイダーマン2でグウェンを救えなかった後悔への答えとして機能していました。
全員に忘れさせるという結末
ピーターは最終的に、自分のことを世界中の誰もが忘れるようにドクター・ストレンジに呪文を頼みます。MJもネッドも、もう一度初めから出会い直すことになる——すべての繋がりを手放すことで世界を守るという決断は、ヒーローとして生きることが何を失うことと引き換えになるかを、このシリーズの締めとして示していました。
