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X-MEN:ファースト・ジェネレーション

あらすじ

1960年代、テレパシー能力を持つ青年チャールズと、金属を操る力を持つエリックが出会い、初のX-MENチームを結成する。冷戦下のキューバ危機を舞台に、後のプロフェッサーXとマグニートーがいかにして袂を分かつかを描く原点の物語です。

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オリジナル三部作の「前日譚」として機能する一作

2011年公開、マシュー・ヴォーン監督によるX-MENシリーズの前日譚的作品です。舞台は1960年代。プロフェッサーXとマグニートーという二人の対立の始まりを、若い頃の姿にさかのぼって描いています。既に関係が固まった状態から始まるオリジナル三部作と違い、この作品では二人が「なぜ袂を分かったのか」を丁寧に見せてくれます。冷戦とキューバ危機という歴史的な背景を取り込んでいて、スパイ映画のような雰囲気もあります。

ジェームズ・マカボイとマイケル・ファスベンダーの二人芝居

若き日のチャールズをジェームズ・マカボイ、エリックをマイケル・ファスベンダーが演じています。二人の関係性の描き方が今作の最大の見どころで、思想的には真逆でありながら、互いを深く認め合っている様子が伝わります。パトリック・スチュワートとイアン・マッケランというオリジナルキャストのイメージを継ぎながらも、それぞれが自分の解釈でキャラクターを作り上げていました。ジェニファー・ローレンスが若きミスティーク(レイヴン)を演じ、後の彼女のオリジナル三部作での立場への流れが納得のいくものになっています。

60年代の美術とスタイル

衣装や美術が1960年代の雰囲気をよく再現していて、見ていて楽しかったです。スパイ映画的な演出と超能力アクションの組み合わせが新鮮で、オリジナル三部作とは異なるトーンを持っています。シリーズを通してダークで重めの作風が続く中、この作品はやや軽やかな冒険映画の要素があり、観やすかったです。

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エリックの憎しみの根源

今作ではエリックの過去がより詳しく描かれます。幼少期にナチスの収容所でショウという男に母親を目の前で殺されたこと、その出来事が彼の能力の目覚めと憎しみの両方を生んだこと。ショウは実は強大な力を持つミュータントで、エリックに試練を与えることで能力を引き出そうとした張本人でもありました。エリックの怒りには正当な根拠があり、「人類と戦え」という彼の主張が感情的に理解できるような積み上げが、この映画でしっかりなされていました。

チャールズとエリックの友情と分断

チームを作りながら共に訓練し、互いの能力と思想を分かち合う前半の展開が、今作の核心です。二人は世界の見え方が根本的に違うにもかかわらず、相手の中に自分にはないものを見ている関係として描かれていました。エリックが強さと復讐を求めるのに対し、チャールズは希望と共存を信じる。その違いが徐々に明確になっていく過程が、後の対立への説得力になっています。

ミスティークの選択

レイヴン(後のミスティーク)は幼い頃からチャールズと育ち、外見を変えることができる能力ゆえに「人間のふり」をして生きることを強いられてきました。エリックが「ありのままでいい」と言ってくれる姿に惹かれていく変化が丁寧に描かれていて、彼女がなぜブラザーフッドに合流するかがよく分かります。チャールズへの愛着は残しつつも、自分を肯定してくれる場所を選ぶという流れに説得力がありました。

キューバ危機とチャールズの負傷

クライマックスはキューバ沖での海上対決です。ショウを倒したエリックは、核ミサイルを人間に向けて発射しようとし、チャールズと決定的に対立します。混乱の中でチャールズは脊椎に銃弾を受け、半身不随となります。このシーンは意図せぬ事故として描かれており、エリックの明確な悪意からではないぶん、二人の断絶がより悲しいものになっていました。ヘルメットをかぶりながら去っていくエリックの姿で、マグニートーという存在が完成します。

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