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ワンダヴィジョン

あらすじ

ヴィジョンの死を乗り越えられないワンダ・マキシモフが、ニュージャージー州ウエストビューの小さな町に異常な現実を生み出し、各時代のシットコムを模した奇妙な日常を送りながら、その謎が少しずつ解き明かされていくMCUドラマ。

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シットコムという奇妙な入り口

2021年配信のDisney+ドラマ。全9話で完結済みです。序盤は50年代から始まり、話が進むごとに60年代、70年代、80年代……と時代を追うように変化するシットコム形式で物語が展開します。最初は「これはどういう作品なのか」という疑問を持ちながら見ることになりますが、その違和感こそが本作の仕掛けです。MCUという大作の流れの中で、これほど実験的な形式の作品が出てきたことに驚きました。

調査パートと謎解きの構造

物語は二層構造になっていて、シットコム的な日常を送るワンダとヴィジョンの内側と、その外から異常を調査するS.W.O.R.D.やモニカ・ランボー、ジミー・ウー、ダーシー・ルイスたちの視点が交互に描かれます。外側のパートはスパイものやSFっぽいトーンで、内側の奇妙さとのギャップが面白く、謎がじわじわと明らかになっていく構成が巧みでした。

エリザベス・オルセンとポール・ベタニーの演技

主演のエリザベス・オルセンは、コメディエンヌとして各時代のシットコムを演じ分けながら、物語後半では深い悲しみを抱えたキャラクターとして圧倒的な存在感を発揮します。ポール・ベタニーも人間になじもうとするヴィジョンの愛らしさと哀愁を両立させていて、二人の演技があってこそ成り立つ作品だと感じました。

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ヘックスという名の悲しみ

ヴィジョンの遺体がS.W.O.R.D.に保管されていることを知ったワンダが、施設で感情を爆発させ、ウエストビューの町全体を覆う魔法の結界(ヘックス)を生み出したのが本作の出発点です。その中に生きているヴィジョンと、後に二人の息子ビリーとトミーを作り出し、自分が想像する幸せな日常を生きていました。シットコム形式は現実逃避のメタファーであり、悲しみが深まるほど時代が進んでいく構成は見事でした。

アガサの正体と謀略

隣人として登場する「アグネス」は実はアガサ・ハークネスという古い魔女で、ヘックスの中でひそかにワンダの力を吸収しようとしていました。終盤で「アガサ・オール・アロング」という挿入歌とともに正体が明かされる演出は鮮やかで、序盤からちりばめられていた伏線に気づいて見返したくなりました。

ヴィジョン二体の対峙

S.W.O.R.D.がヴィジョンの遺体を改造して送り込んだ「ホワイト・ヴィジョン」と、ワンダが作り出したヴィジョンが対決するシーンは本作の見どころのひとつです。二体のヴィジョンは戦いながら「本物のヴィジョンとは何か」という哲学的な問答を繰り広げ、ホワイト・ヴィジョンは記憶を取り戻したうえでその場を去ります。

ワンダとヴィジョンの別れ

ヘックスが崩壊するにつれ、ワンダが作り出した世界は消えていきます。ヴィジョンと息子たちもその中に存在していたため、彼らは消滅することになり、最後の別れのシーンは静かで切なかったです。ワンダが「あなたは私の人生のすべてだった」と告げる場面は、ここまでの物語すべての重みが凝縮されていました。

スカーレット・ウィッチとしての覚醒

ワンダは最終話でアガサを退け、正式にスカーレット・ウィッチとしての力に目覚めます。その後のシーンでは山小屋にひとりこもってダークホールドを読み解く姿が描かれ、遠くから息子たちの声が聞こえてくる後味の悪いラストが印象的でした。この続きが「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に直結しているため、本作を先に観ておくことを強くおすすめします。

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