テレビの中に入りたい
あらすじ
1990年代の郊外に生きる少年オーウェンは、同級生マディに誘われて深夜の謎めいたテレビ番組『ピンク・オペーク』に取り憑かれる。現実とフィクションの境界が溶け始めるなか、自らのアイデンティティの輪郭が揺らいでいくサイコホラー。
ネタバレ無し
どんな作品?
A24配給のサイコホラーで、2024年のサンダンス映画祭でプレミア上映された作品。監督はジェーン・シェーンブルン。1990年代のアメリカ郊外を舞台に、深夜の謎めいたテレビ番組に惹かれていく少年オーウェンの話です。
自分のアイデンティティへの違和感と、現実がだんだん溶けていく感覚が独特の映像で描かれます。ゆっくりじわじわと不安になるタイプのホラーです。
見た感じの雰囲気
スッキリ解決しない映画です。怖いというより、居心地が悪くなるような、じんわりした不安感が続きます。1990年代の郊外のモールや住宅街の均質な風景と、テレビのブルーがかった光の使い方がとても印象的です。
すごく好き嫌いが分かれると思いますが、刺さる人にはとことん刺さる映画です。
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ネタバレ有り
「ピンク・オペーク」という逃避先
劇中の深夜テレビ番組「ピンク・オペーク」は、オーウェンとマディにとって現実よりもリアルな場所として機能しています。「フィクションの中にいる自分の方が本当の自分に近い」という感覚で、二人はその番組に依存していきます。
マディは去り、オーウェンは残る
ある時点でマディが突然いなくなります。マディは自分のアイデンティティへの気づきを行動に変えて、郊外から出ていった。一方のオーウェンはその気づきを保留したまま、日常に留まり続けます。この二人の分かれ道が物語の核心です。
すっきりしない終わり方
この映画はカタルシスがなく終わります。「乗り越えた」ではなく、「気づいていたのに動けなかった時間の重さ」が残る終わり方です。後味がずっと尾を引きます。ホラーの形をしていますが、自分自身への問いかけを手渡してくる映画です。
