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マーベル インヒューマンズ

あらすじ

月面都市アティランに暮らす超人類インヒューマンズの王族が、弟によるクーデターで地球へと散り散りになり、再集結と帰還を目指す物語。

ネタバレ無し

月面の王国に暮らす超人類たち

宇宙線によってDNAを変異させた超人類「インヒューマンズ」が、月面に建造した都市アティランで独自の社会を築いているという世界観から物語は始まります。テリジェン・ミストを浴びることで能力が開花し、その能力に応じた階層社会が形成されているという設定は、MCUの中でも異色の奥行きを持っています。原作コミックのスケールを映像に落とし込もうとした意欲は伝わってくる作品です。

セリフなしで演じるアンソン・マウント

ショーランナーはスコット・バック。主演のアンソン・マウントは、ほぼセリフを持たないブラックボルトという難役を表情と手話だけで演じ続けています。この声なき王というキャラクターが本作の最大の見どころのひとつで、言葉に頼らない演技の見応えは確かにありました。メデューサ役のセリンダ・スワン、マクシマス役のイワン・リオン(ゲーム・オブ・スローンズで知られる)など、個性的なキャスト陣が揃っています。2017年にABCで放送された全8話完結のシリーズです。

ハワイを舞台にした異質な出会い

クーデターによって追われた王族たちが地球のハワイへと降り立つ展開が、本作に独特の空気感を与えています。月面の都市から一転、リゾートの風景の中でインヒューマンズが人間社会と接触する場面は、設定のギャップが面白い見どころです。全身CGIで作られたテレポートができる大型犬・ロックジョーも登場し、MCUドラマとして新鮮な要素を持ち込もうとしていました。

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声を封じた王と女王の絆

ブラックボルトの声は絶大な破壊力を持つため、彼は一切声を発することができません。意思の疎通はメデューサを介して行われ、二人の信頼関係が物語の土台になっています。アンソン・マウントはセリフなしで王としての威厳と孤独を表現しており、目と表情だけで伝わってくるものは少なくありませんでした。メデューサの能力(髪を意のままに操る)も含め、この二人の組み合わせが本作で最も印象に残る部分です。

マクシマスのクーデターが意味するもの

ブラックボルトの弟マクシマスは、テリジェン・ミストを浴びても能力が開花しなかった唯一の王族です。超人的な力の代わりに人間並みの知性と並外れた野心を持つ彼は、能力主義的な階層社会の矛盾を突いてクーデターを起こします。イワン・リオンは傲慢さと悲哀の入り混じった演技でマクシマスを造形しており、本シリーズで最も印象的なキャラクターでした。

ハワイで生き延びる王族たち

ハワイに散り散りになった王族は各自で行動し、慣れない人間社会の中で生き延びながら互いを探していきます。カルナク、ゴーゴン、クリスタルといったキャラクターがそれぞれ異なる人間と出会いながら物語を進める多視点の構成は、群像劇としての広がりを狙ったものだったと思います。ただ予算の制約もあってか、インヒューマンズならではの能力を派手に見せる場面は限られていました。

打ち切りと終わりきれなかった物語

全8話で打ち切りとなり、続編は制作されませんでした。結末自体はある程度の決着はつけていますが、世界観の可能性に対してドラマが追いつけなかった印象が残ります。MCUの中で最も評価が低い作品のひとつとして語られることが多い本作ですが、ブラックボルトというキャラクターの造形とイワン・リオンの演技については、見ておく価値があると感じました。

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