フラッシュ・ゴードン
あらすじ
元NFLクォーターバックのフラッシュ・ゴードンが、科学者ザーコフ博士とともに異星人の独裁者ミン皇帝が支配する惑星モンゴへ乗り込み、地球滅亡の危機に立ち向かう1980年のスペースオペラ。
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ド派手でバカバカしい、でもそれが最高
フラッシュ・ゴードンは1934年の連載コミックが原作のスペースオペラです。1980年に映画化されたこの作品は、CGのない時代に作られたセットや衣装が作り込まれていて、それがかえって独特のごちゃごちゃした迫力を生み出しています。ストーリーはいい意味でシンプルで、難しいことを考えずに楽しめます。スター・ウォーズのようなシリアス路線ではなく、全体的にコミカルでポップな雰囲気が続いていて、見ているうちに不思議な愛着が湧いてくる作品でした。
マイク・ホッジス監督と個性的なキャスト
監督のマイク・ホッジスは「Get Carter」(1971)などで知られるイギリスの映画監督です。主演のサム・J・ジョーンズは元アメフト選手という設定にぴったりの体格で、演技のうまい下手を超えた存在感があります。悪役のミン皇帝を演じたマックス・フォン・シドーが貫禄たっぷりの大げさな芝居を見せていて、作品全体のトーンを引っ張っています。ティモシー・ダルトン(後に007を演じる俳優)がバリン王子を演じているのも見どころのひとつでした。
Queenのサウンドトラックが作品の命
本作を語る上で欠かせないのがQueenの楽曲です。「Flash!」をはじめとするサウンドトラック全曲をQueenが担当していて、ブライアン・メイのギターが鳴り響く中でフラッシュが戦う場面の高揚感は圧倒的でした。音楽と映像が重なり、物語の荒唐無稽さがむしろ気持ちよさに変わります。Queenの楽曲なしにこの映画は語れないと思えるほどで、サウンドトラックとしての完成度は今聞いても色あせていません。
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ネタバレ有り
地球消滅まで14時間という無茶な設定から始まる
ミン皇帝が地球に天変地異を引き起こし、月を地球に衝突させようとしているという状況から物語はスタートします。ザーコフ博士の手製のロケットでモンゴへ飛んだフラッシュたちは、当然ながら即座に捕まります。そこからのフラッシュの行動がとにかく猪突猛進で、腕っぷしと度胸だけで次々と局面を打開していく展開が続きます。「地球を救う」という目的があるわりに場当たり的で、それが逆に軽快なテンポを作り出しています。
モンゴという世界の奇妙な豊かさ
惑星モンゴはホーク族、アービア族など複数の部族が住む世界として描かれていて、それぞれに独自のビジュアルと文化があります。ブライアン・ブレスト演じる飛行部族のバルタン王子は、豪快すぎるキャラクターが強烈に印象に残りました。特撮やセットは今の目で見ると粗削りですが、各部族の衣装や背景美術に手が込んでいて、ひとつひとつのシーンに舞台のような熱量があります。
ミンの宮廷と権力の奇妙な構造
ミン皇帝は周囲を完全に支配している独裁者のはずですが、娘のオーラ姫(オルネラ・ムーティ)がフラッシュに惹かれて計画を乱すなど、身内に足元をすくわれる場面が続きます。バリン王子もオーラへの想いからフラッシュに協力するようになり、権力の頂点にいるはずのミンが最終的に孤立していく様子が面白かったです。大げさな悪役として描かれながら、どこかで同情の余地を感じさせるキャラクターになっていました。
あっけないようで爽快な結末
フラッシュが惑星モンゴに着いてからわずか14時間以内に地球を救うというとんでもない話を、映画はきっちり成立させて終わります。最後の決戦でQueenの「Flash!」が流れる場面は、荒唐無稽な映画に相応しい最高の盛り上がりでした。結末はすっきり解決してエンドロールを迎えますが、最後の一コマに続編を示唆するカットがあって、どこか余韻が残ります。カルト映画としての評価を裏切らない、楽しい後味の一本でした。
