Nの鑑賞ログ
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

あらすじ

アズカバンの魔法監獄から脱走した危険な囚人シリウス・ブラックに命を狙われながら、ホグワーツ3年目を迎えたハリーが、父の友人たちをめぐる知られざる真実に迫るファンタジー映画。

ネタバレ無し

クアロン監督が塗り変えたシリーズの色

第3作にしてシリーズの雰囲気が大きく変わります。前2作を手がけたクリス・コロンバスに代わり、「ゼロ・グラビティ」「ROMA/ローマ」のアルフォンソ・クアロンが監督を担当。魔法世界の楽しさを丁寧に見せていたスタイルから、より陰影のある映像表現と自由な演出へと変化しました。ホグワーツの景色も枯葉や灰色の空が印象的になり、見ていて「シリーズが次の段階に入った」という感覚がはっきりとありました。

ルーピン先生とディメンターの存在感

新登場キャラクターとして際立つのが、ルーピン教授を演じるデヴィッド・シューリスです。魔法生物防御術の先生として、ハリーに対して強さだけでなく恐れそのものとどう向き合うかを教える人物として好感が持てました。ディメンターは近づくだけで人の中にある幸福な感情を奪い去る存在で、ハリーがとりわけ強くその影響を受けるという設定がシリーズ中でも印象的な演出でした。

伏線が積み重なる構成の面白さ

ジョン・ウィリアムズが引き続き音楽を担当していますが、今作ではより不安定で不気味な音色が前面に出ており、シリーズの空気の変化にうまく合わせた仕上がりになっています。タイムターナーなど小道具の使い方に絡んだ伏線も丁寧に置かれており、後半に向けて積み上げられていく感覚が見ていて楽しかったです。

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ネタバレ有り

シリウス・ブラックは悪人ではなかった

物語の大半で「ハリーを狙う危険な脱走犯」として描かれるシリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)が、実際にはハリーの父ジェームズの親友であり、彼の死に無実だったという反転が今作の核心です。真の裏切り者はずっとそばにいた——ロンのペットのネズミ・スキャバーズの正体がピーター・ペティグリューだったという展開は、地に足のついた伏線の回収でした。

ルーピンの正体と月の光

ルーピン教授が人狼(ウェアウルフ)だったという事実も大きな驚きです。優しい先生として好感を積み上げてきたキャラクターが、理性ではコントロールできない変身を迎えてしまう場面には切なさがありました。薬を飲み忘れたための変身という設定が、単なる「危険な存在」としての描き方ではなく、持病を抱えながら生きている人物として描かれていた点がクアロン監督らしいと感じました。

タイムターナーで過去に戻る

ハーマイオニーが持っていたタイムターナーを使い、ハリーとハーマイオニーが過去に戻ってバックビークとシリウスを救うという展開は、時間旅行ものの醍醐味が詰まっています。前半で何気なく映り込んでいたシーンが、過去の視点から見直すと全部つながっていたという構成が巧みで、映画としての完成度を高めていました。

パトローナスと父の影

ディメンターからシリウスを守るためにハリーが放つ守護霊呪文(エクスペクト・パトローナム)の守護霊が、父ジェームズと同じ牡鹿だったという結末。父の幻影を見たと思っていたハリーが、過去に戻ったことで実は自分自身が呪文を放っていたと気づく場面は、感情的な余韻を残す締めくくりでした。

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