スパイダーマン:ホームカミング
あらすじ
シビル・ウォーでの活躍に興奮冷めやらぬ15歳のピーター・パーカーが、宇宙由来のテクノロジーを闇売買するエイドリアン・トゥームス/ヴァルチャーと対決する、MCU版スパイダーマン最初の単独作。
ネタバレ無し
高校生としてのピーター・パーカー
ライミ版・アメイジング版と比べて本作が際立つのは、ピーターが本当に「高校生らしい高校生」として描かれている点です。アベンジャーズへの憧れ、友人ネッドとのオタクな日常、気になるクラスメートのリズ、デカトロン部の練習——と、スパイダーマンとしての活動が高校生活のすき間にねじ込まれているという構図がよく機能していました。トム・ホランドの若さと軽さが、このピーターにぴったりはまっていました。
ジョン・ワッツ監督とMCUへの合流
監督はジョン・ワッツ。本作はMCUへのスパイダーマン合流後初の単独作品であり、ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク/アイアンマン)とジョン・ファヴロー(ハッピー・ホーガン)が登場してMCUとの繋がりを強く示しています。脇を固めるゼンデイヤ(MJ)、ジェイコブ・バタロン(ネッド)、マリサ・トメイ(メイ伯母)の存在感も良く、学園パートに活気がありました。
ヴァルチャーという等身大のヴィラン
本作のヴィランであるエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)は、宇宙由来の素材を武器に加工して闇市場で売る違法業者です。征服欲も支配願望もなく、ただ自分の家族を養うために危険な仕事を続けているという動機が、このシリーズにおいて異質なリアリティを持っていました。マイケル・キートンの静かな迫力が、そのリアリティをさらに押し上げていました。
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アベンジャーズになりたいピーターの空回り
本作の前半はピーターの焦りが軸になっています。大きな事件を解決してアベンジャーズに認めてもらいたいという一心で、トニーの指示を無視して動いた結果、フェリーを半壊させてしまいます。「近所のヒーロー」として地道にやれというトニーのメッセージを受け入れられないピーターの未熟さは、見ていてもどかしくもあり、年相応のものとして納得もできるバランスでした。
リズの父という衝撃
終盤、ピーターがリズの家に迎えに行った際、彼女の父がトゥームスだったことが明かされます。娘の恋人がスパイダーマンと気づいたトゥームスが、車内で静かに圧力をかけてくる場面は本作で最も緊張感のある場面でした。倒すべき相手が想い人の父親だったという設定が、ピーターにとって単純には割り切れない戦いにしていました。
スーツを剥がされた先にあるもの
クライマックスで建物の瓦礫の下に挟まれたピーターは、ハイテクスーツなしの状態で脱出を試みます。「お前はスパイダーマンじゃない。スーツがなければただのピーター・パーカーだ」という問いへの答えを、自力で抜け出す場面で示す演出は、このシリーズが「ヒーローとは何か」を正面から問う意志を持っていることを感じさせました。
アベンジャーズ入りを断る選択
トゥームスを逮捕した後、トニーからアベンジャーズ正式加入を打診されます。しかしピーターはそれを断り、近所のヒーローであり続けることを選びます。シビル・ウォーで興奮していた少年が、一度挫折して自分のやるべきことを見つけ直すという流れは、ヒーローとしての成長物語として綺麗に着地していました。
