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Marvel's M.O.D.O.K.

あらすじ

長年のヒーローへの敗北と組織の経営悪化、そして家庭崩壊の危機に瀕した悪の天才モードックが、世界征服と家族の両立に奮闘するストップモーションアニメコメディ。全10話で完結済みのアダルト向けシリーズです。

ネタバレ無し

家族持ちの悪の天才というコンセプト

Marvel's M.O.D.O.K.は、ストップモーションで作られたアダルト向けアニメコメディで、世界征服を目論む悪の天才モードックが主人公です。アイアンマンをはじめとするヒーローたちに何度も叩きのめされた挙句、自分が率いる悪の組織A.I.M.は企業買収され、妻との関係も冷え切り、子どもたちとも上手くいかないという中年の危機に直面しています。悪のヴィランが家族を持って郊外に住んでいる、というだけでコメディの土台としてすでに成立しており、シリーズを通じてそのギャップの笑いが続きます。

パットン・オズワルトが作り上げたキャラクター

脚本・主演を務めるコメディアン、パットン・オズワルトとジョーダン・ブラムが共同制作した作品で、モードックの声もオズワルト自身が担当しています。自己中心的で承認欲求が強く、頭でっかちなのに脇が甘いというキャラクター造形は、コメディとして機能しながらどこか憎めない情けなさを持っています。ゲスト声優としてジョン・ハムがアイアンマン、ネイサン・フィリオンがワンダーマンを演じており、マーベルファンへのウィンクも随所にあります。ストップモーションの質感はウォレス&グルミットを彷彿とさせる独特の温かみがあり、内容のシュールさと相まって独自の世界観を作っています。

ヒーローものへの愛あるパロディ

マーベルのヴィランが主人公という設定を生かして、いつも見ているヒーローたちがどんな姿に見えているのか、という逆転の視点が楽しめます。A.I.M.が大企業GRUMBLに買収されて以降のコーポレートなやり取りや、ヴィランが抱える家庭内の普通すぎる悩みなど、スーパーヒーロー的な大仰さとリアルな生活感のギャップが笑いを生んでいます。

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GRUMBLによる買収とモードックの迷走

A.I.M.がテック企業GRUMBLに買収されてから、モードックは自分の組織の中で居場所を失い、経営者から一介の部下へと転落します。悪の天才が上司に評価を求めてオフィスで奮闘する構図は、職場コメディの文法をそのままヴィランの世界に当てはめており、笑いながらも見ていて微妙な共感を覚えます。妻ジョーディとの関係もこの時期に一層悪化し、二人の間にあった亀裂が埋まらないまま家庭内の緊張が積み重なっていきます。

ヤング版モードックとマルチバースの問題

終盤に若い頃のモードック(Y.O.D.O.K.)がマルチバースから現れ、さまざまな未来の可能性を見せるという展開が加わります。膨大な並行世界をたどった結果、モードックが真に世界を征服できるタイムラインはたったひとつだけであることが示されます。その条件というのが、家族全員の死を見過ごすというものでした。このシリーズが単なるコメディに留まらず、主人公に本当に重い選択を迫る展開に踏み込んでいる点は予想外でした。

世界を手に入れた代わりに失ったもの

モードックは最終的に家族を犠牲にする選択をし、地球の支配者という夢を叶えます。しかし征服後のモードックはアイアンマンの鎧で作った玉座に座りながらも深い虚しさの中にあり、失った家族を取り戻すための時間旅行の方法を探し続けています。欲しいものを手に入れた後に何が残るかを問うラストは、コメディとして始まったシリーズが到達した予想外の場所でした。続きが制作されなかったことが惜しまれる締め方です。

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