マスターズ・オブ・ユニバース(2026)
あらすじ
邪悪な魔術師スケルターに故郷エターニアを支配された王子アダムが、伝説の剣との再会をきっかけに英雄への覚醒を遂げるアクションファンタジー。
ネタバレ無し
1987年版とは切り離された完全リブート
1987年のドルフ・ラングレン主演版とは物語的な繋がりのない、ゼロからのリブートです。アニメシリーズ「マスターズ・オブ・ユニバース」をベースにしながら現代の映画として再設計されており、原作知識がなくても楽しめる作りになっています。旧作ファンにも向けたサービスは随所に盛り込まれていて、シリーズへの愛情が感じられました。
トラビス・ナイトが描く「英雄になる前の物語」
監督は「バンブルビー」「KUBO クボ 二本の弦の秘密」のトラビス・ナイトです。どちらも主人公の成長と孤独を丁寧に描いてきた監督らしく、本作でも派手なアクションだけでなくアダムという人物の内面に時間をかけています。ニコラス・ガリツィンが演じるアダムは地球で普通の青年として育ったため故郷エターニアのことを何も知らず、観客と同じ目線で世界に触れていく構造になっています。
個性的なキャスト陣
スケルター役のジャレッド・レトーは、過去にも癖の強い役柄を多く演じてきた俳優で、悪役としての存在感がありました。カミラ・メンデスが演じるティーラは戦士として自立したキャラクターで、アダムとの関係性が物語の軸のひとつになっています。イドリス・エルバが演じるマン・アット・アームズ(ダンカン)は頼れる師匠的な存在で、彼の登場シーンは画面が引き締まりました。
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ネタバレ有り
アダムの出自と地球での生活
幼いアダムはスケルターの侵攻からエターニアを脱出し、地球で「アダム・グレン」として15年間暮らしてきました。故郷の記憶をほとんど持たないまま育ったアダムが、パワーソードとの再会をきっかけにエターニアへ戻るという流れは、異世界召喚もののわかりやすさがありながら、主人公が最初からかっこいい英雄ではないという点が好みでした。
スケルターとエターニア支配の構図
スケルターはエターニアを支配し、アダムの両親も囚われています。ジャレッド・レトーの演じるスケルターは威圧感よりもねっとりとした執着心のある悪役で、単純な力の強さではなく策略と魔術で追い詰めてくる手強さがありました。アダムがパワーソードの力を使いこなせないまま追い詰められていく展開は、ラストに向けた焦らし方として機能していました。
ティーラとマン・アット・アームズの存在感
ティーラはアダムよりも戦闘力があるという関係性が新鮮で、足を引っ張られながら支えられながら成長していくアダムの姿がリアルでした。マン・アット・アームズとの師弟関係も含め、三人のやり取りがあたたかく、アクション映画としてだけでなく人物ドラマとしても見応えがありました。
「ヒーマン」という名前が持つ重み
アダムがヒーマンを名乗るのは物語の最後の最後です。それまでずっと力を使いながらも名乗らなかったからこそ、その瞬間の一言が効いていました。
ドルフ・ラングレンのカメオ
1987年版でヒーマンを演じたドルフ・ラングレン本人がカメオ出演しています。新しいヒーマンとなったアダムにアドバイスを送り、"Good journey"という言葉を残して去っていくシーンで、旧作ファンには堪らない瞬間でした。先代から後継者へとバトンを渡す演出として、これ以上ない形のオマージュだと思います。
全体を通して
リブート映画にありがちな「原作ファンへの配慮が重すぎて話が進まない」問題がなく、すっきりとした起承転結で楽しめました。1987年版で描かれなかったアダムとヒーマンの二面性がきちんと掘り下げられており、「なぜこの人物が英雄でなければならないのか」に対してちゃんと答えている点が良かったです。






